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「脳進化加速」を書き終えて

年末に配信開始した「脳進化加速」はもう読まれましたでしょうか?毎年、年末年始のお休みの間にレポートを読まれる方が多いことに気がついたので、ちょうど日本で仕事納めになるくらいの日に合わせて発表出来るように書き進めていました。前回の「脳細胞エネルギー覚醒」のレポートは、あの時点で最高の分析だったので、研究論文として英語でどこかのジャーナルに提出してみようかと思っていたのですが、その後の「脳進化加速」の方が対象として圧倒的に既知と未知の境界に挑んでいるので、こちらを優先しました。


前々回の「脳機能拡張」が認知能力、「脳細胞エネルギー覚醒」がメンタルスタミナを対象にしていたので、ちょうどスピードと強さ、という対象の違いになっていると筆者の中では認識していました。しかし、間違った方向に高速で進むのは墓穴を掘ることになりますし、強さにも限界があります。人間は、どこかの段階で環境変化に適応しなければいけません。スピードも強さも要らないというクラゲのような状態が最善の状態のはずです。状況に完全に適応できていないから頭を使う必要があり、我慢に耐える必要性が生まれてくるのだと思います。この状況への究極的な答えは、あらゆる環境に素早く柔軟に対応する適応力です。これが「脳進化加速」の分析を始めた動機でした。


問題は、適応力というものが脳科学の分野でほとんど定義されていないことでした。反対に、悪適応というのもあり、こちらは比較的研究が進んでいます。精神的トラウマに”対処”するための薬物中毒などの有害な適応行動です。実際には適応でもなんでもなく、自分の首を締めているだけなのですが、生存率を最大に高めるように進化したはずの脳がどうしてこういう極めて不合理な部分最適を選んでしまうのかについては未だに多くの謎が残されています。実は悪適応は前回の「脳細胞エネルギー覚醒」で少し触れていて、これの解決法もこのレポートでカバーしています。なので、悪適応を改善することは単純に適応力を向上することとイコールではない、というのが今回の研究のスタート地点でした。

脳神経細胞が外部からの刺激に対応して、細胞核にシグナルを伝えて分裂や形態を変えたりする細胞内因子を大量に調べているうちに、今回から研究で使い始めたGPT-4が、適応力と神経可塑性をコンピューティング空間(意味空間)の中で極めて近い距離で扱っていることに気が付きました。GPT-4は、かなり早い段階で適応力と神経可塑性が同意語に近いことを見抜いていました。


しかし、今回の分析の完了を一週間遅らせた原因は、人間である筆者でした。筆者は、何かに適応するためには、古い習慣や知識を”消去”する必要があるに違いない。つまり、忘却を行う”メカニズムX”があるはずだ、と考えたのです。当社のAIはこれについては既存の研究がほとんどないとしていました。結論として、”メカニズムX”は存在しません。習慣や記憶の積極的な消去は不可能なのです。実際、たとえば薬物中毒者が注射器などを見たときに薬への渇望感を思い出す反応を治療するため、注射器などにまつわる記憶を消す方法が研究されています。しかしどれも人間での長期的な経過は観察されていません。当社のAIは、これらの方法はどれもデータの見方を間違っており、実際にはむしろ記憶を強化してしまうことになる、と言っています。このありもしない”メカニズムX”を探して一週間無駄にしてしまいました。ならどうやって人間は新しい環境に適応しているのか、というのは、レポートの中に書いています。


また、この過程で精神疾患と神経炎症が悪循環の相互作用を起こしているということを発見しました。精神疾患は認知異常、適応障害などを含み、特に恐怖から気持ちだけごく短期間逃避することに結びついています。これは、脳の一番前で日頃からストレスの対応を担当している前頭前皮質が、処理能力を超えてしまったときに、免疫システムを過剰反応させることが原因です。ドーパミンなどの複数の興奮性神経伝達物質を過剰活性させ、免疫系を刺激し、炎症性因子が増幅しながら相互作用を起こし、海馬などに到達することで恐怖記憶への対応を歪めさせるのです。


2023年は色々なことがあった年ですが、コロナウイルスを無視して生きるか、感染しないように生活を変えながら生きるか選んだ人たちの間の葛藤が特に印象的でした。筆者自身、まだコロナウイルスが支配する世界で何も意志力を使わなくても自然に感染防御が出来るようになったかというとまだその状態には及ばず、現状よりもさらに柔軟でスピーディーな適応力を必要としています。これを妨げるものはまさに神経炎症であり、感染したにも関わらず状況理解を間違えている人が多くいる理由の説明にもなります。

最終的に当社が導いた結論(5物質)について、当社のAIは、もうこれ以上アイディアはない、というところまで煮詰めたものです。脳と体はやはりどこまでも同一で、適応力を高める目的のこれらの物質が、免疫システムを再構築し、様々な経路で抗腫瘍効果も起こすなど、予期せぬ好効果も見つかりました。


筆者は、自分が心の芯から知りたいと思っていることを研究していますが、他の人も実際はほとんど変わらない要望を持っていると思っています。こういった研究を通して、少しでも多くの人が楽になり、世の中が良くなればいいと思っています。しかし、瞑想や精神的な自助努力ではなく、分子生物学的に観測可能で計量出来る方法を選んでいます。

最後になりましたが、今年も読者の皆様のご健康とご繁栄をお祈りしております。当社の分析群が、少しでもその助けになれば幸いです。


「脳進化加速」(リンク) 


割引は1月12日(日本時間23:59)まで

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