top of page

コロナウイルス通信 2023年第15週 「子供の描いたような長期障害者の絵」

イースターが始まって、筆者のいるブカレストでもやっと春らしくなってきました。今年はなぜか火曜日に気温が0度近くまで下り、金曜日にまた暖かくなるというパターンを繰り返していて植物の成長が例年よりも遅くなっています。AIもやっと完全復活したところで、今週の世界のコロナウイルスに関するニュースをまとめていきたいと思います。



長期障害


コロナウイルス感染からしばらく経ったあとに、4人に1人以上が発症すると言われる長期障害について、未だに統一的な診断基準も分類法も定まっていませんが、さらなる知見が今週集まりました。


・軽症であってもコロナウイルスに感染した4人に1人が認知機能障害を抱えてしまうという研究が発表されました。画像のように図形を模写しようとすると右側のようになってしまいます。子供の絵のように見えますが、被験者の平均年齢は38歳です。[リンク]





解説:以前紹介したニュースでは家族の顔が認識できなくなったり、行き慣れたスーパーの売り場が分からなくなったり、駐車場の車を停めた場所が分からなくなるほか、いつも通っていた道で迷うなどの症状も長期障害で発生することが分かっています。空間把握能力が影響を受けている可能性がありますが、これは単に絵を模写するのが下手になるという問題ではなく、交通事故や運輸関連の事故を大きく増やす結果になるのではないかと思います。


・アメリカ全土で子供の長期障害者が病院や医師の処理能力を大きく超えており、圧倒され始めているということが報道されました。たとえばオハイオ州だけでも3万から5万人の子供の長期障害がいると推計され、とても現場の医師だけでは対応しきれない規模に上っています。[リンク]

解説:コロナウイルス長期障害は若年層の方が負いやすいことが分かっています。下水中のウイルス量を見る限りコロナウイルス感染は去年、一昨年以上に広がっており、長期障害者はこれからも増え続けていくと思われます。


・長期障害は血管炎、1型糖尿病を含むあらゆる範囲の自己免疫疾患を有意に増加させ、そのリスクは全ての年齢層で均一に上昇するという研究がネイチャー誌で発表されました。[リンク]

解説:初期の武漢でのアウトブレイクで、死亡者に高齢者が多かった印象が強いのか、長期障害も未だに高齢者だけのリスクだという印象を抱いている人が多いです。しかし、心疾患を含めた長期障害は自己免疫症候群の側面を持っており、年齢は関係なく発生します。


・イギリスでは、いわゆる糖尿病危機が急激にエスカレートしており、糖尿病の件数が記録開始以来最悪になっていると報じられました。[リンク]

解説:もちろん記事の中ではコロナウイルスに関することは一切触れられていませんが、糖尿病、特に1型が感染後に有意に増加することはあらゆる研究で示されています。



免疫への影響



長期障害と交錯する部分が多いですが、感染中にも免疫機能の急激な脆弱化は発生します。間接的にそれに影響を受けていると推測されるニュースをまとめました。


・コロナウイルスは人間の免疫機能に関する遺伝子を戦略的に封じ、B細胞とキラーT細胞の白血球減少症を引き起こすことが分かったという研究が発表されました。[リンク]


・クラミジア、淋病、梅毒などの性感染症が2021年からアメリカで急増しており、梅毒は過去70年間で最悪の規模に達しているという報じられました。米CDCは減少の兆しが全く見られないと発表しています。[リンク


・ブラストミセス症という真菌感染で引き起こされる病気がアメリカで史上最大のアウトブレイクを起こしていることが分かりました。ミシガンでは約100人が感染しています。[リンク

解説:通常、湿ったり腐敗した土壌にいる菌で引き起こされる病気で、沼地などに頻繁にキャンプする場合以外は人間への感染は稀です。エイズなどの免疫不全に陥っている人で重症化することが知られています。


・コロナウイルス感染とバクテリア感染の併発が、死亡率を大幅に上昇させていたことが分かりました。アメリカの入院患者の約6%が血液や呼吸器深部組織に黄色ブドウ球菌を始めとする細菌感染を同時に起こしており、死亡率が倍以上に高まっていました。[リンク

解説:コロナウイルスは内在性レトロウイルスの活動を呼び起こしてしまうことも知られていますが、他の様々な病原体に扉を開いてしまうようです。これらの病原体は感染症だけではなく、ガンを引き起こすものもあるので、こういった研究がもっと盛んになることを祈ります。



再増加



インド、ネパール、シンガポールなどの地域の国々では、新しい変異株アークトゥルス(XBB.1.16)が爆発的に感染数を増やしています。日本などの他の国のニュースではまだ耳にしませんが、クラーケンよりも感染力が高いことが分かっており、到達するのは時間の問題と思われます。


・日本、東京でも再び感染が増加しています。来月上旬から中旬にかけて再びピークを迎え、その後8月下旬にもまた感染拡大のピークがあるだろうという予測が報道されました。[リンク


・アークトゥルス株の震源地になっているインド、ウッタル・プラデーシュ州では、海外からの渡航者の検査を再び義務化しました。また、混み合った場所でのマスク着用義務を再導入しました。[リンク


・インドのバンガロールでは下水中のコロナウイルス量が記録上最悪を更新しました。[リンク



・アークトゥルス株は、今年の冬に広がったクラーケン株よりもさらに20%感染力が高い可能性があるという記事が発表されました。[リンク


・インド同様、感染が再拡大しているネパールでは感染者から採取したサンプル全てからアークトゥルスが検出。政府は各病院に警戒態勢を取るよう指示を出しました。[リンク1][リンク2


・アークトゥルスに関するニュースはオーストラリアからはまだないものの、ビクトリア州では2週間の間に60%もコロナウイルス感染が再増加。このままでは感染数も死亡数もさらに増加するとオーストラリア医師会会長が警告していると報じられました。[リンク


・ベトナムでも感染が再増加しており、わずか一週間で4倍に急増しています。[リンク



ワクチン



・ホワイトハウスが、新しいコロナウイルスワクチンの開発加速に向けて約7000億円規模のプログラムを立ち上げたというニュースが報道されました。[リンク

解説:去年まで積極的に推進していたワクチンにはまだ十分な効果があると説明されていましたが、無言のまま政府首脳は見切りをつけてしまったようです。ワクチンも国民の税金で購入され、その納税者に打たれています。なぜ、どのような経緯で見切りをつけるに至ったのかという説明はなされるべきだと思います。


・スイスもこの春から夏の間に、健康な成人へのコロナウイルスワクチンの推奨はやめる方針を発表しました。[リンク



その他



アメリカでは国民の約8割が、パンデミックは終わっていないと感じており、また、約半数以上がこの先も永遠に終わらないと考えていることが調査で明らかになりました。[リンク

解説:パンデミックを過去のものとして扱おうとする政府及び系列報道機関との現実認識の乖離が、繕いようのないほど大きくなっているように感じます。





カソリック圏に続き、今週末は正教会圏でイースターですが、窓を開けていると相変わらず頻繁に救急車のサイレンを聞きます。既に感染してしまった人は再感染をしないように、これまで感染を避け続けられてきた人はこれからも感染しないように、気をつけて欲しいと思います。

先週配信開始した「AIはどう治療するか」のレポートの85%引きは、日本時間で今日終了します。まだ確認されていない人は、ぜひチェックしてみてください。






閲覧数:1,013回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page