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コロナウイルス通信 2023年第9週 「フランス、スウェーデンもワクチンから撤退」

今年もあっという間に3月になりました。昼が長くなり、気温が上がってくるので人通りが増してくる季節ですが、筆者は突然のランナーの追い越しや、つけ外しの手間から、外でもマスクはつけたままにしています。長時間の外出時にはマスクを付け替えますが、そのときは外で行うようにしています。共有部分が屋内になっている隣の家庭はすでに2週間以上全員感染しているようで、激しい咳の音がこちらまで聞こえてきます。マスクと換気、免疫力の維持に気をつけながら過ごしたいと思います。それでは、今週の世界で起こったコロナウイルス関連ニュースをまとめていきたいと思います。



ワクチン


コロナウイルスワクチンに関する報道の不可解な方向転換は、今年に入ってから顕著になっていますが、今週も先週までと同様のペースで継続していました。


・スウェーデンも、50歳以下の未接種者にはこれ以上ワクチンを勧めることをしないということを決定しました。推奨は水曜日から中止されたということで、極めて急な方針転換でした。[リンク]


・フランスもまた、これまで未接種だった一般国民へのワクチンの接種はもはや推奨しない方針を決めました。ブースターについてはハイリスク層のみに接種します。これで、ワクチンの推奨をやめることにした国や地域は少なくともイギリス、アメリカ、ケベック、台湾、スウェーデン、フランスの6箇所になりました。[リンク]


・実際のコロナウイルス感染にワクチンを重ねることで、”ハイブリッド免疫”を得られるという説が去年提唱されましたが、すでにコロナウイルスに感染したことのある人は、ファイザーのブースターからの副作用が感染したことのない人よりも悪化するという研究が発表されました。[リンク]


・変異を重ねるウイルスに対して、ワクチンの効果は3ヶ月程度で消滅するため、去年は何度もブースター接種を打つよう勧める声が聞かれましたが、年一回以上打つメリットはないとCDCのアドバイザーが結論づけました。[リンク]


感染の実態


先週も触れたとおり、コロナウイルス感染に関する統計が積極的にまとめられなくなってから、感染数や死亡数の実態が非常に見づらくなっています。そんな中、下水中に含まれるウイルス量や超過死亡数などを使った分析から、一般に認識されている以上に悪い現状が明らかになってきました。


・去年8月に行った調査では、JFK空港に到着した飛行機の下水の約8割からコロナウイルスが検出されたことがわかりました。以前、クアラルンプールの空港で行われた同様の調査では9割でした。航空機のトイレはかなりハイリスクだと言えそうです。[リンク]


・パンデミック最初の2年間、世界の平均寿命は1959年以来初めて連続して減少したことがわかりました。2022年も減少していたとすると、現代史上初の事象になりますが、去年は多くの先進国でそれまでの2年間を上回る死亡数と入院数を記録していたため、減少はほぼ確実だと思います。[リンク]


・去年夏に広がったBA.4/BA.5株による実際の感染は、CDC発表の実に24倍以上の規模に広がっていたという研究が発表されました。また、それまで医療サービスにアクセスした人だけを対象とすることの多かった長期障害ですが、全ての人を対象とした分析では高齢者より若年層の方が長期障害率が高いことがわかりました。[リンク]


免疫


コロナウイルスは複数の経路から人間の免疫力を脆弱にし、またコロナウイルス感染自体への免疫もつきにくくするということがこれまで何度も報告されてきました。今週もそれをさらに裏付ける研究が発表されました。


・コロナウイルス感染から3ヶ月後、子宮頸部異形成から浸潤性癌へと急速に進行するケースが確認されました。免疫系が機能しなくなることで癌を抑え込めなくなっている可能性が支持される研究で、今後の癌の発生数が注目されます。[リンク]


・インドでは、コロナウイルス感染によく似た症状の”インフルエンザ”が急増。症状自体も2,3週間と長い期間継続するものの原因はまだ特定されておらず、インフルエンザの他に何か別のウイルスに感染している可能性が指摘されています。[リンク]


・薬物耐性が極めて高く、治療法のないタイプの赤痢菌がイギリス、アメリカを中心に増加しているとCDCが警告しました。[リンク]


・この冬、病院での遺体処理が追いつかずにビジネスパークや駐車場にまで仮設の遺体安置所を設けることになったイギリスでも、また感染が増加。この4週間で入院数が60%増えていることがわかりました。[リンク]


・渡航前のウイルス検査義務を廃止した結果、渡航中及び渡航後のコロナウイルス陽性率が50%以上上昇したとCDCが報告しました。渡航の際の検査義務には効果があったことがわかりました。[リンク]


長期障害


現在のところ、感染者の約2割が倦怠感や体の痛みなどを負うと推計されているコロナウイルス長期障害について、この見込みはあまいのではないかと思わせる研究が今週も発表されました。


・大阪市立大学の研究では、コロナウイルス感染者の半数以上が長期障害を経験。感染自体から回復しても1年以上継続し、さらに、重症度は関係ないことがわかりました。上のニュースと合わせると、感染時には軽度の症状しか経験しなかった若年層ほど、長期障害を負いやすいということになります。[リンク]


・スウェーデンの研究はさらにシビアな現実を映しています。スウェーデンでコロナウイルス感染で入院した患者の84%が、2年経ったあとも認知機能障害などの症状を抱えているほか、20%以上が心臓血管疾患などで再入院していることがわかりました。[リンク]


・やはりスパイクプロテインそのものが非常に問題であることがわかってきています。今パンデミックを起こしているコロナウイルスと初代SARSのスパイクプロテイン、及び他の3種類のタンパク質などは、深刻な認知機能の低下を招くアミロイド凝集を引き起こすという研究が発表されました。[リンク]


・上で若年層ほど長期障害に脆弱ということを書きましたが、心臓発作に関しても同様だということがわかりました。パンデミックが始まってからの2年間で、25歳から44歳までの心臓発作による死亡数は30%増加し、全年齢層で最悪であることが発表されました。[リンク]


その他


現在進行中の分析の過程で、副産物的に得られた情報です。


・子どものコロナウイルス感染の、脳神経症状としてよく起こる「めまい」にはウコンがよく効くことがAIのメタ解析でわかりました。


・同様に、コロナウイルス感染で生じる消化器系の症状は免疫の脆弱化が原因のため、抗ウイルス作用のあるものが効果的であることがわかりました。




来週もまた、世界のコロナウイルス関連ニュースを配信していきます。お気をつけてお過ごし下さい。

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